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世の中には涙を誘う感動的な物語や勇気付けられるさわやかな物語がたくさんあります。
本来ミステリ好きな管理人「おとぎ」が、色んな本を読んで感じたことを綴ります。
コメント、トラバ大歓迎!
特に、同じ本の感想のトラバは、こちらへのリンクが無くてもOKです!

管理人の読書感想サイト「おとぎのミステリルーム」もよろしく!
2006読了本ランキング(暫定・制作中)もあります。
おとぎのミステリルームのサーバーのジオシティーズが閉鎖になるので、過去の感想をこちらに再掲載しようと思っています。
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十八の夏 (光原百合)

JUGEMテーマ:読書

 

予備校生の信也は、土手で絵を描く紅美子と知り合い、同じアパートで半一人暮らしを始めるのだが・・・。
第55回日本推理作家協会賞を受賞した表題作ほか、「ささやかな奇跡」「兄貴の純情」「イノセントディズ」の全4編収録。

光原作品の魅力満載という印象だった。
表題作は、恋愛ミステリの部類に入るだろうか。
意外な展開になってゆき、充分興味深く読ませてもらったが、連城三紀彦風でもあり、受賞には納得できる。
シンプルなストーリーで気持ちよい「兄貴の純情」、法月作品と連城作品が融合したような「イノセントディズ」もそれぞれ楽しませてもらった。
しかし、一番のお気に入りは「ささやかな奇跡」。
ミステリ的小道具もさることながら、すがすがしい恋の話で感動的だった。
重松清風でもある。
主人公の水島の人柄が穏やかで、それが素朴な魅力をかもし出している。

(2003.5評)

 

| 小説 | 22:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
卵の緒 (瀬尾まいこ)

JUGEMテーマ:読書

 

育生は小学生。
家には父さんがいなくて母さんと二人暮らし。
でも、自分は捨て子であると疑っている。
母さんは育生のことがとても好きだが、最近は朝ちゃんに首ったけだ。
育生は友達の池内君が長く学校を休んでいるのが気になっていて・・・。
表題作他「7's blood」収録。

「卵の緒」は2001年第7回坊ちゃん文学大賞受賞作である。
中学講師という職業柄か、子供の描写が可愛らしくて巧いなあ、と感じた。
「卵の緒」に出てくる母親の性格は実に開けっぴろげで憎めないキャラなので好感が持てる。
母子家庭のお話であるが、ハッピーストーリーで、親子の愛、友情などをテーマにわかりやすく書かれた軽快な小説である。
「7's blood」の七生と七子のコンビの組み合わせも面白い。
七生は小学生にしてはしっかりし過ぎているとも思うが、二人のやりとりはとても奥が深く透明で心あたたまるものがある。
ラストはやや物足りないが、途中ほっとするような場面がいくつもあり、「和み系」小説の傑作だと思う。

(2003.2 評)

| 小説 | 23:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
「いつでも夢を」(辻内智貴)

JUGEMテーマ:読書

 

街角で雨に打たれ続けている女。
その女を黒塗りの高級車の後部座席から見つめている男。
男の車が走り去った後に、女に近づく男。
男は女の体に手を伸ばすが、女の握り締めたカッターナイフに刺されてしまう。
男が逃げ出した後、ジローはその女を見つけた・・・

辻内氏はやっぱり最高だ。
「TOKYOオトギバナシ」という副題がついているこの小説は、まさに「大人のおとぎ話」という言葉がぴったりな夢のような話である。
ジローや洋子や龍治のそれぞれの思いを深く描き出すとともに、周囲の人達のあたたかさに包まれる様子もしっかり描かれていて、温かさと冷たさの入り混じった鮮度のいい小説だ。
洗練されたユーモラスな会話も巧いのだが、なんといってもラストの大芝居ぶりが印象的であった。
あまりにも露骨すぎる感じがしないでもないが、「大切なもの」を丁寧に書きたい気持ちがすごく伝わってくる。
こういう小説を読んでみたかった!
印象としては「センセイの鞄」(川上弘美)の世界観に近いような気がするが、真面目な恋愛小説であるにもかかわらず、堅くなく読み手に優しいのである。
今までの辻内作品には、強烈さや人情などが個々に前面に押し出されていたが、本書は、そこからまた一段レベルの上がった非常に完成度の高い作品であると思う。

(2003.3評)

| 小説 | 22:46 | comments(2) | trackbacks(0) |
「恋火」 (松久淳+田中渉)

JUGEMテーマ:読書

 

ピアノ教室をリストラされたピアニスト健太は、アロハシャツの男から「本屋でバイトしないか」と声を掛けられる。

翌日、目が覚めると、健太はいつの間にか天国の本屋に来ていて、そこでバイトを始めるのだった。
一方、商店街の青年団で活動する香夏子は、怪談大会の失敗でイライラしていたが、ひょんなことからかつて行われていた花火大会のことを知る・・・

美しいメロディーを奏でるようなピュアストーリー。
複雑な展開の多い現代小説にあって、宝石のような輝きを放つ貴重な小説という印象を受けた。
「天国の本屋」での健太とピアノ弾きの女性の出会い、香夏子と花火師との出会い、交互に展開する二つの物語の行く末は、読者の期待を決して裏切らない。
確かに恋愛ストーリーではあるのだが、露骨にそれを表現しているのではなく、むしろ健太や香夏子のユーモラスでさっぱりした生き方を前面に出して、それと対比させるように過去の男女の物語を綴っている手法が素晴らしい。
「恋火」というタイトルも気に入ったが、シンプルでありながら奥の深い物語の構成も感心せざるを得ない。
そして文章の美しさも印象的であった。

 

(2003年1月評)

 

| 小説 | 20:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
「きみにしか聞こえない−CALLING YOU−」 (乙一)
「Calling You」「傷」「華歌」の3編収録。
女子高生リョウは携帯電話を持っていなかったが、頭の中で毎日想像していた。
ある日、リョウの頭の中の電話の着信メロディーが鳴った。
驚きながら、頭の中で電話をとると、相手は野崎シンヤという少年で、向こうも頭の中で通話しているという。
その後二人は度々通話するようになるが・・・

3編とも超常現象が絡む物語である。
どれもせつなくしみじみとしたストーリーであるが、特に「Calling You」が印象深い。
女子高生の孤独を癒す頭の中の携帯電話。
それがつながり、孤独な相手がいることがわかったら、二人の心が近づくのは当然であろう。
テレパシーだと味気ないが、携帯という手段が新鮮でロマンティックで現代的で乙一らしい発想といえるだろう。
さらに、年上のユミの存在がワンポイントになっていて、この物語を締まったものにしている。
ラストはせつない系の真骨頂。
ちょっと哀しいけど、感動する作品だ。
残りの2編も、心の結びつきを描いた秀作で、全体として本書は見事な出来栄えだと思う。

JUGEMテーマ:読書



| 小説 | 22:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
5 (佐藤正午)
5
評価:
佐藤 正午
角川書店
¥ 1,890
(2007-01)
アマゾンでは・・・
『ジャンプ』から七年。著者会心の最高傑作。
結婚八年目の記念日にもらったチケットでバリ島に訪れた中夫婦。倦怠期を迎えた二人だったが、ある出来事をきっかけに、愛の記憶を取り戻す事になるが・・・。

と謳われ、「本の雑誌」のウエブサイトでも書評委員がそろって大絶賛という傑作みたいなのですが・・・・。

うーむ、正直言ってこれは評価が難しいなあ。
佐藤正午の作品では「ジャンプ」も「Y]もすごい名作だとは思うのですが、いまいちつかみどころがないというか、どうもあの文体との相性が悪いみたいです。
先が読めないストーリー展開が魅力ともいえるのですが、それが雲に乗ってるようなつかみどころのなさと感じて、どうも物語にのめりこめません。
この「5」は不思議な能力が絡む男女間の濃密なストーリーなのですが、なんだかなあ・・・・・。
たとえば、途中である登場人物が神秘的な登場をし、期待を抱かせるのですが、いつのまにか俗物的な役どころになってしまってるのに、ちょっと違和感を感じました。
まあ、みんなが傑作というからには傑作なんでしょうが。
ああ、どうやったら佐藤正午を素直に楽しめるんでしょう・・・・。
| 小説 | 20:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
クローズド・ノート(雫井 脩介)
評価:
雫井 脩介
角川書店
¥ 1,575
(2006-01-31)
実は随分前に読んでいて、昨年のマイランキングでも上位に入ってるのですが、「別に・・・」で話題になっているので映画化で話題になっているので、一応レビューを掲載。
そもそもこの本は新聞の広告などで非常に感動的な小説だと知っていたので、かなり期待して読んだのですが、結果期待以上でした。前半は。
なんかミエミエの筋立てだったのはご愛嬌としても、主人公の女の子と学校の描写の部分、これがすごくいいんです。
大好きな加納朋子さんの瀬尾さんシリーズを思い起こさせるし、学校のシーンは大好きな大好きな北村薫氏の不朽の名作「スキップ」そのもの。
藤田先生シリーズ(by村瀬継哉)でもいいんですが、とにかく前半は最高。
まあ、ここでやめときゃベストだったのですが、後半の多少波乱めいた展開がなければ物語のオチはないわけで、それも仕方ないところか。
雫井さんはバリバリミステリな人で、「犯人に告ぐ」(こちらも映画化)など傑作もありますが、こういう青春ものもいいですね。
某沢尻エリカ関連で、映画の入りはどうなんだ?とか言われてますが、私的には配役のイメージがちょっと違いますね。竹内結子の先生役のほうは合ってるような気がしますが。
| 小説 | 21:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
砂漠
砂漠
砂漠
伊坂 幸太郎
総合評価★★★★
(感心度★★★★ 面白さ★★★★ 読後感★★★★★)

今読み終えたところです。
うーむ、スゴイの一言です。
伊坂幸太郎の作品で一番好きかも。すごくしっかりとした小説になってる。
西嶋のキャラなどで、伊坂氏の持ち味が非常によくあらわれていると思うけど、全体的に壊れてなくて素敵な青春小説になっているのはある意味珍しい。
ちょっと予想外に素直な青春小説だったので、とても嬉しい。
これだったら直木賞あげてもいいぐらい(笑)
しかも、この小説のすごいのはそれだけじゃない!
最後にのけぞってしまうぐらいビックリ!
読み返して見ると、なるほどと思われることがたくさんあり再度感心したのだが、青春小説にどっぷり嵌ってた私は全く気付かす、嬉しい驚きを味合わせてもらいました。
今年は、まだ10冊ぐらいしか読書できてなくて、感想も1年以上書けてないのですが、久々に感想書きたくなるぐらい良かったです。
時間があれば他の人の感想も読み歩きたいな!(時間がないのが残念)
| 小説 | 20:58 | comments(2) | trackbacks(2) |
博士の愛した数式 (小川洋子)
博士の愛した数式
博士の愛した数式
小川 洋子
総合評価★★★★
(感心度★★★ 面白さ★★★★ 読後感★★★★)
昨年の書店員が選ぶ本屋大賞に選ばれた作品です。
感想をところどころで目にし、ずっと読みたかった本なのですが、ようやく読めました。
80分しか記憶が続かない数学者と、家政婦とその息子の心温まる交流を描いた感動的な小説でした。
この作品の核になっているのは、「どんなに心を通わせても、博士の記憶から家政婦母子のことは消えてしまう」という点です。
その限られた時間の中で、また毎日繰り返される日常の中で、彼女らが何を考え何をやろうとするのか、それを淡々と描き綴っています。
また「数字」という無味乾燥な物に、生命の息吹を与えるエピソードが数多く語られ、数学嫌いの人も楽しめるようになっているのは素晴らしいと思います。
ただ、期待があまりにも高かったため、やや物足りなく感じた面もあります。
記憶がリセットされるはずの博士が、毎日状況をすんなり受け入れてゆくのもちょっと違和感があります。
北川歩実の作品などではかなりパニックになっていたので、いくら数字だけを相手にしていて実生活にそれほど支障はないとはいえ、もっと混乱しそうですが。
でも、それは作品全体の質からみるとそう大きな問題ではないでしょう。
やはり、名作といって良いと思います。
| 小説 | 21:52 | comments(0) | trackbacks(3) |
明日の記憶 (荻原 浩)
明日の記憶
明日の記憶
荻原 浩
総合評価★★★★
(感心度★★★ 面白さ★★★ 読後感★★★★)
若年性アルツハイマーの主人公の苦悩を描いた感動的な小説です。
多くの読者がこの本を読んで、「若年性アルツハイマー」が発祥するとはどういうことか、その苦しみはどれほどのものか、と自分自身のこととして考えさせられるでしょう。
単なる「物忘れ」とか「記憶力が落ちる」ということとは全く別の世界があるのは、かなりの衝撃でした。
人間にとって記憶とは何なのか?ということまで考えてしまいました。
物語は非常に淡々と進んでゆくのですが、逆にドラマのようなかけ離れたものでなく、かなり現実味のある物語として感じられます。
ラストはある意味美しく希望にあふれた演出ではありますが、実際問題、そこから始まる本人及び周囲の困難はより深刻さを増すのでしょう。
こうしてみると私たちが普段当たり前に行っている「記憶」という行為がいかに素晴らしい奇蹟のようなことであると感じずにはいられません。
ビジネスの世界、あるいは学業などでも「覚えているのが当たり前」みたいな風潮があり、それは別に変ではないのですが、「記憶」にあまりに依存した社会は何だかすごく脆い気がします。
| 小説 | 20:31 | comments(6) | trackbacks(8) |